
下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」は13日、会員企業団体の若手や中堅の従業員を対象としたスキルアップセミナーを宇都宮市内のホテルで開き、脳科学者で医学博士の中野信子(なかののぶこ)氏が「ビジネスに活(い)かす脳科学」と題して講演した。
中野氏は人間の体は他の動物と比べて非常に弱く、種として生き延びるために社会的集団を作ってきたとし、「人間は集団を守るためにルールを破りそうな異質な人を排除する、社会性というわなの中に生きている」と説明。「目立つ人や得をしていそうな人が標的になりやすく、圧倒的な存在になって『あの人にはかなわない』と思わせることも重要だ」と述べた。
また、ある実験で寄付を募る人がブランド品の服を着ていたら、ノーブランドの場合と比べ2倍の寄付金を集めたという結果を紹介。「人間は他人を顔や身に着けている物、所作などの見た目で9割判断する」とし、「脳科学の観点から、戦略的に自分が良く見える角度や表情に気をつけることは、ビジネスの現場でも使える」とした。
中野氏は東京都出身。東京大大学院の医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。東日本国際大教授、森美術館(東京都港区)理事などを務めている。