
下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の3月特別例会が6日、宇都宮市内で開かれ、キヤノン専務執行役員の武石洋明(たけいしひろあき)氏(59)が「半導体ビジネスを取り巻く環境」と題して講演した。
同社は同市清原工業団地に、半導体を製造するための露光装置を開発・製造する事業所を構える。武石氏は同事業所を率いる光学機器事業本部長を務める。
講演では、半導体が「産業のコメ」と称されることを紹介。「半導体の進歩のスピードに負けないよう技術開発を継続し、産業の発展に貢献したい」と強調した。
半導体市場の拡大が続く一方、日本の市場シェアは韓国企業の台頭などで年々低下してきたと説明。製造装置や素材分野では日本が高いシェアを占めることに触れ「半導体自体の製造を復活させるとともに、現在の強みは今後も維持しなければならない」と訴えた。
半導体製造工場の誘致は世界で活発化している。韓国では計画地周辺に学校や病院の新設が予定されるなど、「工場建設は街を一つつくるぐらいのインパクトがある」と指摘。本県でも半導体関連企業が複数立地するとして、「工場建設による相乗効果はある。自治体には誘致を進めていただきたい」と強調した。
武石氏は茨城県出身。1990年、キヤノンに入社し、常務執行役員を経て2021年4月から現職。