本日4月1日から、自転車の安全で適正な利用促進に関する条例が施行され、7月1日からは、自転車利用者に自転車損害賠償責任保険等への加入が義務づけられます。 「自転車先進県とちぎ」を掲げる栃木県において、誰もが安心して楽しく自転車に乗れる環境をつくるために「自転車先進県とちぎ マナーアッププロジェクト2022」を始動します。 今回は福田知事と、県内を拠点に活躍するプロサイクルスポーツチームの宇都宮ブリッツェンの運営会社、サイクルスポーツマネジメント(株)の柿沼社長に、条例制定の意義や自転車の魅力、乗り方の注意点などをお話頂きました。

企画制作/下野新聞社 営業局

 

安心な自転車の街に

本日から自転車条例が施行されます。条例の制定に至った背景などをお聞かせください。

栃木県知事 福田富一氏

福田 自転車は、幅広い世代に利用される気軽な乗り物で、環境にやさしく、健康に良いことや、観光の振興や災害時の利用などさまざまな分野における自転車利用のニーズが増加しています。

一方で、県内の交通事故全体の件数は減少傾向にありますが、自転車事故の比率は増加傾向(一昨年まで3年連続増加)にあります。また、他県では自転車利用者が事故の加害者となり、未成年者など利用者本人やその保護者に対して、高額な損害賠償が請求される事例が見受けられます。

そこで、自転車利用者をはじめ、県民が安全に安心して暮らすことのできる社会を実現するため、自転車の安全で適正な利用の促進や自転車損害賠償責任保険などへの加入義務を盛り込んだ条例を制定しました。

自転車利用メリット

自転車に乗ることのメリットや、県民の自転車利用促進に向けた取り組みをお聞かせください。

福田 自転車の利活用により、交通分野の低炭素化、道路の円滑化、日常の身体活動量の増加・底上げ、自転車を活用した地域の活性化、交通事故の削減などがメリットと考えられます。令和2年3月に策定した「栃木県自転車活用推進計画」では、「自転車を利用しやすい快適な“とちぎ”」、「自転車で楽しく健康な“とちぎ”」、「サイクルツーリズムで成長する“とちぎ”」、「自転車を安全に利用できる安心な“とちぎ”」の四つの目標を設定し、各目標について施策を掲げ、自転車通行空間の整備などの具体的な取り組みを行い、自転車利用の促進を図っています。

自転車の魅力や楽しみ方をお聞かせください。

サイクルスポーツマネジメント株式会社
代表取締役社長 柿沼章氏

柿沼 多くの皆さんがレジャーとしてのサイクリングを楽しいと感じるその背景には、『マインドフルネス』と呼ばれる状態があります。それは、“ペダルを踏んで自転車で走る事だけに集中している状態“ です。社会情勢や仕事、家庭の事など、常に考える事が求められる現代社会の中で、自転車で走っている間の脳内は、非常にシンプルな状態になります。脚のリズムや息使い、心臓の鼓動だけと向き合いながら走っている時に、ふと見える四季折々の自然豊かな景色は改めて新鮮に映ると思います。

またスポーツバイクは軽快な設計になっているので、シティサイクルに比べてとても軽い走りが楽しめます。知っている道でもスポーツバイクで走れば非日常な体験になります。

栃木県の地域資源ともいえる自然豊かな里山エリアや田園地帯、広域サイクリングロードなどはサイクリングにとても適しています。

仲間と走っても一人で気ままに走っても楽しめる自由さも、サイクリングの魅力の一つですし、目的地を決めて走り出す事は小旅行のような興奮があります。

自転車事故ゼロへ

自転車事故をなくすための取り組みについてお聞かせください。

福田 自転車が関係する交通事故を防止するため、本条例を制定したほか、自転車の安全で適正な利用強化の日(毎月8日・休日のときはその前後)における各種活動の推進や高校における主体的な自転車街頭指導、自転車シミュレーターを使用した交通安全教室の開催、スケアードストレイト方式による交通安全教室、「マナーアップ!あなたが主役です」運動の推進(毎年7月)、通学路の安全点検などにより、自転車事故の防止を図っています。

柿沼 自転車の社会的な注目が高まる一方、交通事故については、普及と同時に真剣に考え取り組まなければいけない課題です。

自転車はその手軽さから軽い気持ちで使用すると思いますが、道路交通法上では「軽車両」に分類されます。「軽」は付きますがあくまでも「車両」=自動車と同じです。

自転車にまつわる事故に絶対に遭わない、そして遭わせないために最も必要な事は、交通社会の一員である意識だと思います。

宇都宮ブリッツェンとしては、主に小中学生を対象に「自転車安全教室」を実施しています。実際に自転車目線での課題や、ルールだけでは解決できない交通マナーの事などを宇都宮ブリッツェンの選手たちが経験ベースで伝えています。

年間3000㌔に及ぶ宇都宮ブリッツェン選手の走行距離を通じて語られる経験値は、受講してくれる生徒の心に残るものだと思いますし、自転車のハンドルを握る事の責任感が伝わるようにと考えて活動しています。

更なる魅力向上

栃木県を自転車で盛り上げていくための取り組みをお聞かせください。

福田 本県は、緑なす山々から広い平野まで変化に富んだ地形が多く、誰もが多様にサイクリングを楽しむことができる環境が整っており、一般参加型の各種自転車関連イベントも県内各地で開催されています。

「自転車先進県とちぎ」の魅力をさらに高めるため、本県の優れた立地条件・地勢・地域資源を活用した、国内外に誇れるサイクリング環境(モデルルート)を創出し、令和2年度には県北地域において 「栃木県サイクリングルート“ナス1”」が決定されました。走行環境の整備が概ね完了したところであり、サイクリングコース共有アプリに掲載するなど全国へ発信しています。

また今年5月には、県北地域を舞台にサイクルイベント「ぐるとち2022」が開催されます。超上級者からファミリー層まで幅広い層を対象に7本のコースを用意し、那須高原の自然や日本遺産などの地域資源をふんだんにコースに盛り込んでいます。休憩場所となるエイドステーションでは地元のおいしいものを味わっていただくほか、自転車と併せて栃木ならではの体験が楽しめるコースも設けています。

現在、参加者募集中です。是非多くの皆さまに参加いただきたいと思います。

柿沼 栃木県には那須ブラーゼンと宇都宮ブリッツェンの二つの地域密着型プロサイクルロードレースチームがあり、日本全国で活躍しています。公式レースでは『ジャパンカップサイクルロードレース』や、『ジャパンサイクルリーグ』の公式戦全4レースなどが開催されています。

ロードレースは、選手たちの超人的なフィジカルの争いだけでなく、風の抵抗をめぐる戦略や、エースのためにアシストに徹するチームプレーなど、沢山の要素で決着する美しいスポーツです。是非一度レースを観戦にお越しいただきたいと思います。

安全に楽しく乗る

県民へのメッセージをお願い致します。

福田 自転車利用者の責務や県民・事業者等の役割、ヘルメットの着用(努力義務)、自転車保険への加入義務化などを規定した本条例が、いよいよ本日1日から、自転車保険への加入義務化については7月から施行となります。

「自転車先進県とちぎ」として、「自転車による交通事故ゼロ」と「誰もが自転車を安全安心に利用できる“とちぎ”」を県民一丸となって目指していきたいと考えております。

県民の皆さまには万が一の交通事故に備えて、自転車保険へ加入いただくとともに、ヘルメットの着用、点検整備をしっかり行い、交通ルール・マナーを守って、安全に楽しく自転車に乗っていただくようお願いします。

柿沼 皆さんも是非自転車に乗ってみてください。スポーツバイクでなくても、ご自宅にある一般車にしっかり空気を入れて、チェーンにオイルを差し、サドルを少しだけ高めにしてみましょう。ヘルメットも忘れずに。4月は自転車で走るのに気持ちがいい季節です。

本日はありがとうございました。