首都圏農業は渡辺文雄(わたなべふみお)元知事が提唱し、1980年代後半から本県農業振興計画の大きな柱となってきた。大消費地に近い優位性はあるが、都内で農作物を販売するまでには時間が掛かる。新鮮なものほど手間と経費もかさむ▼千葉から東京に向けては、今も大きな籠を担いだ農家の女性たちが採れたて野菜を運ぶ。京成電鉄の行商専用列車は5年ほど前に廃止されたが、8人ほどが一般車両で続けているそうだ▼益子町産の新鮮な朝採りの野菜や果物が8月から、高速バスで都内に送られている。出荷当日から、丸の内や新宿などでの特設イベントや飲食店で提供され好評だ▼JA全中や大企業が枠組みをつくり、農業関係企画などのアップクオリティ(東京都)が運営する貨客混載事業。バスのトランクの空きに農作物や加工品を積む。関東、東北など7県7社の高速バスが使われている▼益子町では道の駅ましこが受注、集荷する。9月の出荷は7回に及び、町内の協力農家も増えた。ナシやトマトが評判で、道の駅の担当者は「新鮮なものを届けられてうれしい。頻度が上がって町のPRにもなれば」と話す▼農家側の経費負担はなく、何とも魅力あふれる試みだ。県内発の高速バスは他にもある。荷物スペースの確保などの課題をクリアして、他の産地にも広がってほしいものだ。