栃木・茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた住民訴訟控訴審の7回目の和解協議が30日、東京高裁(都築政則(つづきまさのり)裁判長)で開かれた。漁協側弁護団によると、高裁は、事業が本格運用されるまで国と漁協側との意見交換の場を設けることを柱とする和解案を示した。また原告、被告双方に対し、受け入れるかどうか4月25日までの返答を求めたという。双方が受け入れれば、次回口頭弁論の27日に和解が成立する。

 弁護団によると、和解案は国が事業を行う上で漁業への影響に配慮し、各漁協の意見を尊重することを目的として明記。アユ、サケ、ヤマトシジミなど水産資源8種への悪影響を防ぐため、設備を本格運用するまでは漁協側との意見交換の場を設けるよう求めた。

 意見交換の場は非公開とし、年1回、原則7月に開くことを提案。本格運用の時期には触れていないが、漁協側の意見を聞いた上で国が判断することを想定しているとみられる。

 また和解案は、本格運用までは取水を制限するなどして事業を行うことなどを求めた。稚アユの取水口吸い込みを防ぐため、毎年10~1月の夜間取水停止を提案。国に少量の試験送水(霞ケ浦から那珂川への逆送水)を行って、水質などの定期的なモニタリング調査をするよう示した。

 高裁は和解案の意図について「漁業被害が生じない仕組みをつくることが重要」と述べたという。

 漁協側弁護団代表の谷萩陽一(やはぎよういち)弁護士は協議後、「高裁も双方の意見を相当聞き、かなり踏み込んだ案になった」と話した。