暖かな陽光に照らされた港内を小さな船で案内してもらった。沖から岸辺を眺めると、ショッピングモールや土産物屋が軒を並べるのどかな風景が広がっていた▼福島県南部いわき市の小名浜港は、石炭、重油などの燃料や金属鉱を積んだ外国からの大型船舶が荷を下ろす一大輸入拠点だ。この港は2011年3月、大地震と津波に襲われた。海から陸地に流れ込んだ水があっという間に膨れ上がり船舶、車などを巻き込んだ▼「もう駄目だ、あふれる」「何だこれ。本当に」-。その瞬間を写した動画には、驚きと恐怖、失望がない交ぜになった人々の肉声も残されている▼再建された商業施設の中に「いわきの東日本大震災展」というスペースがあった。その一角に小学5年生の作文が展示されていた。友達を失い、ふるさとを奪われた子どもたちが懸命に書いた文章である▼「あの日、津波は私たちの大切なものを一瞬にしてうばっていきました。大切なクラスメートを失い大きな悲しみを味わいました。(略)まずは、ぼくたちの心を元気にすること、それがいわきの復興につながることを信じています」▼壊滅的な被害から7年余りの月日が流れた。当時の5年生は街の変遷を見ながら成長し、今年18歳となった。そろそろ将来を考える時期だ。復興は世代を継いで進んでいく。