アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、栃木、茨城両県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた訴訟の控訴審第8回口頭弁論が16日、東京高裁で開かれた。都築政則(つづきまさのり)裁判長は「話し合いによる解決が双方の利益になると考えている」などとして和解勧告した。漁協側は和解協議に向けて、たたき台となる和解案を2月上旬にも高裁に提示する構え。

 都築裁判長は弁論で「双方の主張が出そろい、審理は終盤と認識している」とした上で「話し合いによる解決が双方の利益になると考え、それぞれの代理人に(和解を)打診してきた」と述べた。弁論後、漁協側と国側から、それぞれ非公開で意見聴取した。

 漁協側弁護団によると、高裁から昨年7月ごろ、初めて和解を打診された。当初は和解の条件として(1)取水口の運用に関する漁協側と国側の定期的な意見交換(2)稚アユの取水口迷入を防ぐ取水制限時期の協議、決定(3)霞ケ浦から那珂川への逆送水は必要かつやむを得ない場合にとどめる−という案を口頭で示されたという。

 高裁と原告、被告の協議の結果、国側が和解案を示す可能性は低いとの感触があり、漁協側から案を示すことにした。高裁は本年度内の和解が念頭にあるとみられるといい、漁協側の丸山幸司(まるやまこうじ)弁護士は「将来的に漁業権侵害にならないための歯止めをきちんとかけられるなら、(和解で)実利を取れる可能性があると考えている」と話した。