歯科医療の世界で「ナカニシ」の名を知らぬ人はいないだろう。超高速回転技術に特化した専門メーカーで、歯を削る同社の歯科用機器には、ほとんどの人が治療で接している▼1930年、都内で中西製作所として創業し、戦火を避けるため45年に鹿沼市に移転した。60年代から海外への販売を積極的に進め、全体の売り上げに占める海外比率は8割を超え、世界135カ国以上で利用されている▼歯科の歯を削る分野で同社製品のシェアは世界一。「メイドインとちぎ」が多くの国々で役立っていると考えると誇らしくなる▼先日、鹿沼市の新本社で海外や国内の代理店関係者を招いて創業88周年記念イベントが開かれた。新本社、新工場が完成し、そのお披露目などが目的という。その中で中西崇介(なかにしたかすけ)名誉会長(81)のあいさつが印象深かった▼経営は、会社がつぶれないためにどうするかが発想の原点で、「クレームは宝物」をモットーに製品の品質向上に努めてきたという。不況の度に必ず新製品を出せたことやタイミング良く必要な人材を確保できたことなども幸いした▼同社は現在、欧米製が圧倒的なシェアを持つ脳外科、整形外科のメディカルドリルの分野に挑戦している。「ものづくりに限界はありません」との言葉に、栃木に根を張ったグローバル企業の矜持(きょうじ)を感じた。