水害乗り越え、晴れ舞台 鹿沼秋まつり「一番町」の府所本町

 「鹿沼秋まつり」初日の7日、多くの観光客でにぎわう鹿沼市中心街で、当番組一番町として堂々とした繰り込みを見せた府所本町。国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録後初開催という今年の大舞台で、仕切り役をこなした。2015年には関東・東北豪雨による被害で、本祭り1カ月前の仮屋台奉告行事に唯一参加できなかったという苦い経験もあるだけに、川田武和(かわたたけかず)若衆頭(50)は「こうして祭りに参加できていることがうれしい」と感慨深そうに語った。

 府所本町の若衆110人らは同日朝、威勢よい掛け声を上げながら彫刻屋台と共に今宮神社を目指した。楡木寿町囃子(はやし)保存会が響かせるお囃子で屋台を押す腕に力が入った。

 水害時、同町は西武子川の氾濫で約70世帯のうち半数以上が浸水。自治会館は床上40センチ、屋台蔵は同70センチまで水に漬かった。祭りへの参加意思を示す仮屋台奉告行事を2日後に控え、行事に使う屋台を模したリヤカーも泥だらけになった。

 「とても参加できない」。稲尾勝雄(いなおかつお)府所本町祭典委員長(72)らは所属組の親町を通じて、祭りの保存会などに打診。特例で仮屋台は出さず、本祭りへの参加となった。

 楡木寿町囃子保存会がある同市楡木町もまた、黒川の氾濫で大きな被害を受けた。保存会の片見一郎(かたみいちろう)会長(68)は川田若衆頭と連絡を取り「復旧を優先し、お互い頑張りましょう」と勇気付け合った。

 祭りで培われてきた地域の絆を発揮し、一丸となって復旧に当たった。多くのボランティアの助けもあった。府所本町には連日、100人以上が駆け付けた。

 あれから2年。地域の誇りは世界へ発信される。