栃木市、歴史的建造物を全棟調査  嘉右衛門地区の123棟対象、2年かけ実施

 【栃木】市は本年度、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の嘉右衛門(かうえもん)町地区の歴史的建造物全123棟を対象にした調査に乗り出した。2012年に重伝建に選定された同地区の歴史的建造物の保全が求められる中、将来的に修繕を行う際に本来の姿に近づけるための根拠となる資料の作成を目指す。長年市内の歴史的建造物の調査に携わってきた建築士に委託し、各所有者の聞き取りや実測などを行い2年間でまとめる。

 市は02年にも同地区の調査を行ったが、当時は同地区の価値を発見することが目的で、街並みの調査にとどまった。

 これまでは同地区を存続するための根拠となる資料がなく、修繕工事をしながら随時設計を変えなくてはない非効率的な作業だったという。市蔵の街課は「(調査は)復元の効率性や正確性の向上を図り、地区の文化的価値を高める」と調査の活用を期待している。

 調査を委託されたのは、建築設計事務所「のぶひろアーキテクツ」(茨城県古河市)代表の1級建築士加藤誠洋(かとうのぶひろ)さん(52)。小山高専建築学科の学生時代から市の歴史的建造物の調査研究を行い、02年の調査にも関わったことから今回も携わることになり、8月から本格的に始めた。

 加藤さんは歴史的建造物の所有者を訪問し、「もともと何を営んでたか」「建物の増築・改築はいつ行ったのか」といった質問を投げ掛け、所有者の記憶を手掛かりに建物の原形をたどる。