「96%」。震災から7年7カ月がたった東京電力福島第1原発や周辺の現状を示す一つの数字である。先日、共同通信の視察団に加わり現地を訪れた際、発電所の内外で聞き「時の流れ」を考えさせられた▼原発内では、爆発や火災のあった1~4号機を間近で見た。津波の爪痕が生々しく残る。燃料デブリの取り出しや汚染水対策など課題はなお山積みで、改めて事故の重大性を実感した▼ただ、防護服の作業員は姿を消し「一般作業服で歩けるエリアが96%」と担当者は話す。現在も4千人以上が働く。職場環境という点では改善しつつあるようだ▼一方、原発がある双葉町はいまだ96%が帰還困難区域だ。全町避難が続き、役場機能もいわき市に移されたままである。「復興のために」と汚染土壌の中間貯蔵施設を受け入れた伊沢史朗(いざわしろう)町長は講演で、「町を新しくつくり替える」と力説した▼折も折、津波対策を巡り強制起訴された東電旧経営陣は公判で責任を否定した。「真実を明らかにしてほしい」。被災者の偽らざる気持ちだろう▼小紙には原発事故以降、県内各地の空間放射線量率を掲載するコーナーがある。低レベルに下がり落ち着くが、それに比例して被災地への関心まで薄れてはいないか。闘いが続くフクシマの今を目の当たりにし、風化させてはいけないと肝に銘じた。