レンブラント、セザンヌに歌川広重(うたがわひろしげ)。オランダの巨匠ゴッホが尊敬した3人の画家である。特に広重晩年の傑作「大はしあたけの夕立」にある太い雨の描写には衝撃を受けたようで、油絵の模写作品が今も残る▼東京五輪・パラリンピックに向け建設が進む新国立競技場の設計に携わった建築家の隈研吾(くまけんご)さんは、この雨脚のアクセントを「パラパラ」と表現する。那珂川町で先日あった講演会では、自らの作品の特徴がそこにあると強調した▼その先駆けとなった同町の馬頭広重美術館は、建物全体を格子状に覆う八溝杉のルーバーなどで「パラパラ」感を出した。フィンランドの国際木の建築賞を受賞し、世界に一躍名を広めた作品でもある▼同じく代表作の那須町の石の美術館、高根沢町のちょっ蔵広場を加えた3施設を、隈さんは「栃木県3部作」と呼ぶ。これらの建物に温かみを醸し出す大谷石や芦野石は、新国立競技場でも使われるというから楽しみである▼競技場を囲む軒などを彩る47都道府県の木材のうち、本県産の杉は北東の方向で見られる。風を上手に取り入れるため「木材のパラパラ具合は方位によって違う」とか▼競技場に歓声が響く2020年、馬頭広重美術館は開館20年の節目を迎える。世界の人に足を運んでもらい、隈作品の神髄を感じ取ってもらえればいい。