広がる「赤ちゃん」先生 学校や高齢者施設で触れ合い 母親の社会参加にも

広がる「赤ちゃん」先生 学校や高齢者施設で触れ合い 母親の社会参加にも

 学校や高齢者施設などで赤ちゃんと触れ合う活動が県内で広まっている。少子高齢・核家族化による異世代交流の難しさなどを背景に、教育的効果を期待して取り組む自治体もある。産後に孤立しやすい母親の社会参加を後押しする役割も大きいようだ。

 6月下旬、宇都宮市平出町の介護老人保健施設「宇都宮シルバーホーム」。NPO法人ママの働き方応援隊(本部・神戸市)による「赤ちゃん先生プロジェクト」が行われ、生後2カ月~3歳の母子5組が、認知症を患う入居者約30人と一緒に歌や体操を楽しんだ。

 優しい笑みを浮かべ、赤ちゃんをあやそうとするお年寄りたち。中里與志雄(なかざとよしお)さん(93)は「目に入れても痛くないというが、まさにその通り。かわいいという言葉以外、何にも言えない」。にじむ涙をティッシュペーパーで押さえた。

 同施設の鈴木亜紀(すずきあき)看護係長は「表情が全然違う」と目を潤ませた。孫やひ孫は遠方にいて、接する機会がない入居者も多いという。「子育て経験のある方も多く、早期記憶を呼び起こし、脳を刺激する効果も高いのでは」と期待を寄せた。

 0~3歳の親子がさまざまな施設を訪れる同プロジェクトは2012年にスタート。県内では、昨年8月に「栃木宇都宮校」が立ち上がり、「前橋校足利学級」と合わせてママ講師22人、赤ちゃん先生19人が活躍中だ。

 1回2千円の謝礼も支払われ、仕事としても注目されている。栃木宇都宮校の川辺真美子(かわべまみこ)代表は「赤ちゃんには人と人をつなぐ力がある。お母さんが外に出るきっかけとなり、1人でも笑顔になれるよう、活動を広めたい」と力を込める。

 「目が合うと笑ってくれた。かわいかった」。高根沢町阿久津中で7月13日に行われた「赤ちゃんふれあい『いのち』の授業」。赤ちゃんを抱っこした2年の野口仲吾(のぐちちゅうご)さん(13)は、はにかんだ。

 同町は10年から、思春期の生徒たちに親への感謝や自己肯定感を高めてほしいと町内中学校で授業を展開。実施するNPO法人「次世代たかねざわ」によると、母親らにも好評という。導入を検討して視察に訪れる自治体もある。