原爆の悲劇もう二度と… 広島の祈念館が証言収録 壬生の「語り部」中村さん

 原爆の実相を後世に伝えるため全国の被爆者の証言をビデオ収録している国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市)のスタッフが20日、宇都宮市中戸祭町の県労働者福祉センターを訪れ、収録を行った。証言したのは兵役中に広島で被爆した壬生町本丸2丁目、中村浩(なかむらひろし)さん(89)。「核兵器の悲劇は二度と起こしてはならない」。原爆投下から72年。凄惨(せいさん)な出来事を振り返り、平和の尊さを訴えた。

 72年前の8月6日朝。17歳の中村さんは、爆心地から海を隔てて約20キロ離れた江田島の軍事施設にいた。

 「ピカッ、ドンッ」。閃光(せんこう)と爆風と同時に、広島市に面した窓ガラスが一瞬で吹き飛び、粉々に砕けた。

 「何事だ」。外に飛び出すと、真っ白い煙が市内を覆い尽くすのが見えた。立ちすくむしかなかった。

 救援部隊として現場に入ったのは、原爆投下の3日後。「『助けてください』と声を出せる人は、まだいい方」。多くは身じろぎもできず路上にうずくまり、目だけを動かしていた。

 終戦後、壬生町へ帰郷した後も苦しみは続いた。「子どもが奇形になる」。偏見を恐れ、被爆者であることを隠し続けた。

 中村さんは現在、県原爆被害者協議会(県被団協)の事務局長を務め、中学校などで「語り部」として活動している。「私の話を聞いて、少しでも平和に関心を持ってもらえたら」と、ビデオ収録も引き受けた。

 収録事業は2003年度に始まり、これまでに国内外の約390人が証言。県内からは11年前に4人が協力している。本年度は中村さんを含め全国で20人の収録を行う。中村さんの証言は18年4月、同館内やホームページ上で公開する予定。