栃木県内でも減少が続く昔ながらの銭湯=5日午後、宇都宮市若草1丁目

 昔ながらの銭湯(一般公衆浴場)の減少が止まらない。県内でも今年春に2軒が相次ぎ廃業。6日現在で営業するのは8軒で、ついに一桁台になった。後継難や設備老朽化に悩む現役の経営者も少なくなく、業界には一層の危機感が広がる。10月10日(1010、セントウ)は「銭湯の日」。

 県や県公衆浴場業生活衛生同業組合によると、銭湯は宇都宮に3軒、小山と栃木、佐野、足利、那須塩原の5市に1軒ずつある。

 県に記録が残る範囲では、ピーク時の1967年には142軒あったが、自家風呂の普及で年々減少。近年はスーパー銭湯や健康ランド、風呂を備えたスポーツジムなど他業種との競争も激しくなっており、10年前(2007年度末)の16軒からさらに半減した。

 今年3月には創業65年の「さざなみ湯」(宇都宮市材木町)が廃業。2代目店主だった田村典英(たむらのりひで)さん(73)は「施設全体が古くなった。改修には億単位の費用がかかるし、後継者もいないので辞め時だと思った」と寂しげに振り返る。

 5月には鹿沼市に唯一あった「末広湯」(同市東末広町)がのれんを下ろした。同組合によると、経営者の高齢化が進む中、高額な修理費が必要となる設備の故障が生じた際に、廃業を決める例が目立つという。

 業界特有の事情も経営を難しくしている。銭湯の入浴料金は都道府県ごとに上限が設定され、燃料費などが高騰しても事業者は自由に価格転嫁できない。

 銭湯の減少は全国的傾向だが、今も500軒超がある東京都内ではスタンプラリーなど業界で連携した企画が多い。銭湯の特徴や位置情報が見やすく整理されたウェブサイトもある。

 一方、本県はそもそも銭湯が少ない。2016年度末時点で比べると、本県は10軒(当時)で全国39位タイ。連携で期待できる効果は薄いほか、情報発信面でも課題が残るのが実情だ。

 同組合の稲垣佐一(いながきさいち)理事長(69)は「栃木から銭湯の火を消さぬよう、地域と交流しながらアイデアを練りたい。良い考えがあったら教えてほしい」と話している。