度重なる台風襲来には閉口するが、平安の昔は台風をも楽しむ余裕があったのだろうか。枕草子にこんな段がある。「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにおかしけれ」。台風の翌日はたいそうしみじみと趣深い、というのだ▼温暖化の影響か、今の台風は強大化し刃(やいば)をむき出しにして襲いかかるから、到底しみじみとはしていられない。被害を極力減らすためには、十分な防災対策が必要となってくる▼先日、消防庁などが主催する「地域防災力向上シンポジウム」が矢板市であった。気象予報士の半井小絵(なからいさえ)さんが「気象災害と防災への心構え」と題して訴えたのは自然を恐れ、地域に潜む災害をよく知り、早め早めの避難を実行することの重要性だ▼その後のパネルディスカッションで指摘されたのが、自助のスキルを上げるということ。自分だけは大丈夫と避難しないのはもってのほか。三重県の小学校でつくられた歌も紹介された。「100回にげてもからぶりばかり それでもこんどもにげるんだ」▼地域防災力を上げるためのキーマンに防災士がいる。民間資格ではあるが、地域防災活動のリーダーとして活躍が期待される。だが、本県はその数が十分ではないという▼災害が少ないと言われる本県だが、想定外続きの昨今である。県民一人一人が真剣に防災に向き合いたい。