熟成焼き芋で作った、プリンやスイートポテトなどスイーツを販売する「芋ノわ」=上三川町上蒲生

 近年、サツマイモブームが起きている。スーパーやコンビニでスナックやスイーツが販売され、全国各地でサツマイモグルメをテーマにしたイベントが展開されている。栃木県内でも専門店が人気を集めている。需要の高まりや生産者の増加を受け、県は生産拡大を図っている。

 サツマイモ産業を振興する「さつまいもアンバサダー協会」の橋本亜友樹(はしもとあゆき)代表理事(45)によると、ブームは焼き芋が原点にあるという。砂糖が貴重だった江戸時代に普及し、明治時代になると、庶民の食べ物として広がった。戦後、リヤカーで石焼き芋を販売するスタイルが定着すると、より身近になった。

 現在の第4次ブームは2010年前後に始まった。電熱式焼き芋機の登場で、スーパーやコンビニでも手軽に入手できるようになったのが背景とされる。安納いもや、べにはるかといったねっとりとして甘みのある品種の広がりで、幅広い年齢層に食べられるようになった。

 野菜の一種という点から、菓子より健康的で罪悪感が薄いおやつとして取り入られるのも、人気の理由の一つだ。佐野日本大学短期大教授の管理栄養士藤田睦(ふじたむつみ)さん(63)によると、サツマイモには便秘解消効果がある不溶性食物繊維や、コレステロールを下げる水溶性食物繊維のほか、ビタミンC、ミネラルなど栄養が豊富に含まれている。藤田さんは「手軽に栄養が取れる」と話す。

 総合建設業「加藤工務店」(栃木県上三川町西蓼沼)は昨年12月、同町上蒲生に専門店「芋ノわ」をオープンした。

 取締役で同店代表の加藤一枝(かとうかずえ)さん(48)は「子どもが小さい頃、健康を意識しておやつに干し芋を食べさせていた」と振り返る。開業当初、ブームについて知らなかった。オープン初日、店の前に100人近く並ぶ光景を目にして驚いたという。

 「上三川町といえばこれ、という土産を生み出して、地域を盛り上げたかった」と加藤さん。日光醤油(しょうゆ)や那須御養卵など県産食材にこだわる。一方で、サツマイモは県内で安定供給できず、生産者を探している。

 県は8月、生産者らと研究会を立ち上げた。栽培や貯蔵方法の課題を解決する機会を設け、安定的な生産を後押しすることで産地の拡大を目指している。