香ばしい衣の香りが食欲をそそる。肉は簡単にかみ切れ、甘みもあるが、脂のしつこさは感じない。看板メニューの「ゴールデンポーク」は税込み2千円だが、価格以上の満足感がある。
「とんかつ 栄」は、開店して半世紀ほどの老舗だ。2代目店主の宮田康雄(みやたやすお)さん(69)は1979年、知人だった先代から店を引き継いだ。数十年通い続ける常連も少なくないという。
ゴールデンポークは豚肉の銘柄の一つ。特定の血統の豚を交配させた上、餌や水にもこだわることで、理想的な赤身と脂肪のバランスに成長する。
衣のパン粉は、専門店で特別に作った食パンを使う。バターを入れず、焼き上げて5日間ほど冷蔵庫に入れ、固くしてから削ることで揚げた際にサクサクした食感が生まれる。
揚げ方には宮田さんの職人技が光る。8割程度火が通ったところで油から取り出す。最後は余熱でじっくり加熱することで、軟らかい肉に仕上がる。
「とんかつ以外にもエビやアジのフライなど、うちは何でもうまいよ」。宮田さんの口ぶりには、長年店を支え続けた自信と誇りがにじんでいた。
◆メモ 足利市伊勢町3の11の12。午前11時~午後2時、同5時~8時半。木曜定休。(問)0284・42・0541。