箱根駅伝で青山学院大を4連覇に導いた原晋(はらすすむ)監督は、同大会に出場したことがなかったどころか、就任前には指導者の経験が一度もない。駅伝監督としては、まれな存在という▼「ビジネス界での指導実績を駅伝に生かしてほしい」。同大関係者からこう要請を受けたのは、中国電力で陸上の選手生活を終え、営業マンとして活躍していた16年前のことだった▼その後10年余りで弱小チームをトップに引き上げた原さんは、足利市の講演会で「当時チャンスをいただけなければ、今の私もチームもない」と語った。まずはチャンスを与えることが、原さんの指導法でもある▼第4次安倍改造内閣がきのう発足した。本県選出の茂木敏充(もてぎとしみつ経済再生担当相など主要閣僚が留任する一方、12人が初入閣というチャンスを手にした。歴代安倍内閣では最多だ▼人口減や日米の貿易摩擦問題など、国内外の課題は山積する。政治や行政に対する不信感はかつてないほどに高まっている。新閣僚には「永田町の常識は国民の非常識」とならぬよう、国民の声を謙虚に聞いてほしい▼原さんは監督要請を受けた際、会社に出向扱いを申し出ることも考えたという。生活面の不安からだが、優勝という目的のためあえて退路を断った。引き受けたからには逃げも隠れもしない。大臣にもそんな覚悟を求めたい。