取るべきかそのままにするか、プールに入れるか休ませるか−。プールの季節になると、保護者の間で子どもの水いぼに対する論争が起きる。獨協医大医学部皮膚科学講座井川健(いがわけん)主任教授に感染経路や水いぼの治療法などについて聞いた。

 「プールに入りたがっているが、他の子たちにうつしたら悪いから」。宇都宮市内の男児(4)の母親(36)は元気に走り回る男児を見詰めながら話す。男児は病院で水いぼを取ったがまだ残っており、他の子どもに配慮して今季は幼稚園のプールを休んでいる。

 水いぼのないほかの園児の母親(35)は「うつされたら嫌だから、水いぼのある子はプールに入ってほしくない」と本音を漏らす。

 母親たちに複雑な思いをもたらしている水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫」。軟属種ウイルスに感染すると、光沢のあるいぼができる。接触のほか、ウイルスが付着した物を介しても感染することがある。皮膚表面の免疫機能が未成熟な赤ちゃんから小学校低学年くらいまでに多く見られる。水いぼそのものにかゆみはないが、水いぼを引っかいた手で他の部分に触れると一気に広がる。

 井川教授によると、プールの水では感染しない。日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚科学会も「プールの水では感染せず、プールに入っても構わない」とする統一見解を発表している。

 だが、ウイルスが付いたタオルやビート板、浮輪などに触れることで他の子どもにうつる可能性がある。道具類を洗い流し、プールから出たら体をシャワーで洗い、タオルを共有しないことが有効。水いぼがある人がラッシュガードや防水ばんそうこうで患部を覆うことでも感染リスクは減る。

 皮膚表面の免疫機能が弱いうちはいぼの出没が繰り返されるが、成長につれて治癒する。井川教授は「命に関わる疾患ではなく、時間は掛かるが自然によくなる。取らなければいけない、ということはない」という。