東京砂漠などと揶揄(やゆ)されるほど都会には緑が少ない。株式会社ゴバイミドリ(東京都)は、里山と連携して日本在来の植物で都市に緑を増やす仕事をしている▼会社を立ち上げた宮田生美(みやたふみ)社長の話を先ごろ聞く機会があった。在来種にこだわるのは、暮らしから急速に失われる季節感を惜しみ、巡る季節を楽しみたい、との思いからという▼金網でつくった籠に保水性の高い軽量土壌を入れ、多様な植物を植え込む独自の緑化ユニットが売りである。ビルなどの大きな建築プロジェクトへの参画が増えていく中、2007年、那珂川町の林業佐藤昭二(さとうしょうじ)さん(57)と取引を始めた▼佐藤さんの自宅周辺の里山にはノアザミ、クサソテツなど在来の植物が豊富で、当時、ゴバイミドリの関係者はそれを「宝の山」と表現した。佐藤さんは周辺の植物が商品になることが「信じられなかった」という▼里山の植物は緑化ユニットの製造担当者に送られ、製品化されて都内の山種美術館の庭やコーヒーチェーン店「スターバックス」の植栽などに使われてきた。環境保全への配慮もあって、最近では実生苗の採取などに変わってきている▼高根沢町の種苗生産者からは、挿し木で育成したテイカカズラの苗が出荷されている。本県の緑が都会の人々の癒やしになっていると聞くと、なぜか楽しくなる。