シュタットベルケという聞き慣れない言葉がある。ガスや電気、公共交通などのインフラを整備、運営するためにドイツで発達した自治体出資の事業者のことを指す▼ドイツには約1400がある。中でも、注目されているのが太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー事業を手がけるものだ。電力小売りの総売り上げは2兆円程度、小売市場全体の20%を占めるまでになった▼バイオマスなど地域固有の資源の活用や雇用づくりにもつながる。顧客の家の電気トラブルにも技術者を派遣する、といった地域密着のサービスを売り物にする業者もある▼何よりも、地域外の電力会社に支払っていた電気料金が地元に落ち、循環するようになることが大きい。東京電力福島第1原発事故の後、日本でも福岡県みやま市や群馬県中之条町などに、日本版シュタットベルケが生まれている▼みやま市の取り組みは、電力会社が雇用を生み、地域の活性化につながった例として今年の環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)にも紹介された▼最大震度7を観測した北海道の地震では全域が停電し、電力不足が長期化した。大企業が建設した遠くの巨大な発電所から送られてくる電気に頼らず、自分たちが使う電気は自分たちの手でつくる。そんな取り組みが、各地に広がっていってほしい。