本県護憲派の支柱・宮本栄三さん逝く 「九条の会・栃木」元代表 戦争体験原点に発信

 施行70年の憲法記念日を見届け、県内護憲派の支柱が静かに息を引き取った。宇都宮大名誉教授(憲法)で「九条の会・栃木」代表を約12年間務めた宮本栄三(みやもとえいぞう)さん=宇都宮市西の宮1丁目。享年87歳。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更、首相による2020年中の改正憲法施行の提起など現行憲法が大きく揺らぐ中、戦争の恐怖を経験した世代の一人として、最期まで「平和憲法は世界の宝」とのメッセージを発信し続けた。

 自ら設立に携わった「九条の会・栃木」。体力面などから16年末で共同代表を退いたが、その後も毎月の会議には出席し続けた。

 「名前だけの代表ではなく、外部講師への依頼など活動に深く関わってくださり、名実ともに会の中心だった」。同会事務局長の田中徹歩(たなかてつほ)弁護士(67)は振り返る。

 宮本さんは1930年、和歌山県生まれ。翌年の満州事変から終戦までの「十五年戦争」の期間と自らの少年時代が重なる。後の活動の原点は「子や孫の世代に二度と同じ経験をさせたくない」との思いだった。

 戦中は学徒動員を経験。大阪市内の造船所で労働を強いられ、食事も入浴も満足にできない日々を送った。45年の大阪空襲では爆弾と焼夷(しょうい)弾の雨にさらされ、「至る所に死者が転がる焼け野原」を目の当たりにした。

 戦後、同志社大に進学。後に日本の永世中立国化を唱えた憲法学者田畑忍(たばたしのぶ)の下で学んだ。同門に土井(どい)たか(こ)子元日本社会党委員長がいた。

 現役引退後の2005年、「九条の会・栃木」の発足と同時に代表に就任した。