サツマイモの生育状況を確認する大嶋さん=真岡市内

 栃木県内でサツマイモの生産が徐々に拡大している。戦後、水稲や園芸作物の拡大で減少の一途をたどったが、近年は加工用を中心とした需要の高まりが追い風となっている。一方、生産技術における課題は多く、生産拡大を図る県と生産者らは8月、技術力の向上を目指す研究会を新たに立ち上げた。

 サツマイモは5〜6月ごろに定植し、9〜11月ごろに収穫する。腐敗を防ぐため高温・多湿下で一定期間貯蔵した後、低温下で保存すると半年ほど持つという。生産量日本一の鹿児島県や茨城県などが主産地だ。

 農林水産省の作物統計によると、本県の作付面積は戦後の1949年産で約1万ヘクタールあった。農地の開拓で水稲やイチゴなど園芸作物が拡大したのに伴い、68年の作付面積は10分の1まで激減。2017年産は143ヘクタールまで減った。

 近年は焼き芋や干し芋の人気の高まりで、作付けは増加傾向にある。20年産は164ヘクタールと、17年産から14・7%増えた。小規模産地の本県は作付面積などが同省から毎年公表されないが、県生産振興課によると、20年産以降も拡大が続く。消費が減少する主食用米から、需要が高まるサツマイモに転換する動きもみられるという。

 真岡市上高間木2丁目、農業大嶋崇文(おおしまたかふみ)さん(38)は、約2ヘクタールで「紅はるか」を生産する。5年前、「比較的作りやすく、県内であまり作られていない」とサツマイモを選んだ。

 当初は販売先に苦心し、地元の焼き芋店に販売したり、自前で干し芋に加工して販売したりした。転機は約2年前、干し芋などを製造販売する壮関(そうかん)(矢板市こぶし台)の担当者と知り合い、同社へ出荷するようになった。

 同社は18年、県産サツマイモを使ったブランド品を作ろうと、宇都宮市の農家などから70トンを仕入れ、商品化した。健康志向の高まりから女性を中心に干し芋の需要は増え、製造体制を拡充。県産だけでは足りなくなり、現在は県産300トンと茨城県産など計800トンで製造する。同社の担当者は「栃木県産がさらに増えれば、もっと仕入れたい」と生産拡大を期待する。

 需要増を受け、県はサツマイモ栽培を推進する。ただ、生産を増やすには苗の確保から収穫したサツマイモを貯蔵する際の温度管理、場所の確保まで幅広い課題がある。生産者らによると、水田は粘土質で土が硬く、形がいびつになりやすい。品質を保つための土作りも難しいという。

 課題解決に向け県は8月、研究会を立ち上げた。初会合では県内の生産者約40人が参加し、それぞれの栽培方法などを情報交換。生産者が苗を自前で栽培する重要性なども確認した。

 今後も主産地の視察や情報共有などを重ねる方針で、同課は「栽培上の課題を解決し、サツマイモ生産を定着させていきたい」としている。