麻の伝統、犯罪が足かせ 高校生の体験事業終了、神社に「最初で最後」の奉納

麻の伝統、犯罪が足かせ 高校生の体験事業終了、神社に「最初で最後」の奉納

 神社の神事に欠かせない麻。原料となる産業用大麻の生産量日本一を誇る鹿沼市で、鹿沼南高生徒が技術継承を目的とした生産体験で栽培加工した麻が30日、日光市山内の世界遺産日光二荒山神社に奉納された。生徒たちの体験は、大麻犯罪の多発を受けた国と県の方針で昨冬にストップが掛かり、最初で最後の奉納で終止符を打つ形となった。同校からは「心ない犯罪者によって生産が難しくなっている」と悲痛な声が上がっている。

 鹿沼市は全国の麻生産量の8割を占めるが、生産農家の減少が深刻だ。30年前に比べ、農家数は6分の1の13戸、作付面積は46%減の792アールとなっている。

 そこで同市は2014年度から、県あさ振興連絡協議会や同校と共に生産体験事業を実施。同校は麻畑を借りて種まきや収穫、加工など一連の作業を行い、15年には体験を基にした栽培手引書をまとめた。

 しかし昨年、産業用大麻で地域おこしをした鳥取県の生産者が大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕された事件や、違法栽培などの犯罪が相次いだ。県は同12月に国の通達を受け、栽培地視察や研修を禁止とし、同校生徒による体験もできなくなった。

 指導する藤沢暢恒(ふじさわのぶひさ)教諭(36)は「伝統農業を守ろうと活動したのに、マイナス面ばかり目立ち悲しい」とこぼす。県薬務課は「断腸の思い。無秩序な見学ツアーもあり、(同校の活動を)例外とできなかった」としている。

 生徒たちは活動の区切りとして奉納することを考え、同校卒業生が同神社に奉職した縁で実現した。この日、奉納した麻は約2キロ。祭具などに年間8キロの麻を使う同神社にとって、一定量を確保できる貴重な機会となった。