敗れた陣営に「万歳」が沸き起こる。過去の自民党総裁選にはこんなこともあった。本県選出の渡辺美智雄(わたなべみちお)氏が、当選した宮沢喜一(みやざわきいち)氏に挑戦し2位に付けた1991年秋のことである。

 党内第4派閥の領袖(りょうしゅう)だった渡辺氏の国会議員票は、70票余りとみられていた。ふたを開けてみると30票余り上乗せし、党員票と合わせて120票獲得。宮沢氏の285票には及ばなかったものの渡辺氏は「ポスト宮沢1番手」の位置を手中に収め、宮沢内閣の副総理兼外相に就任した。

 20日午後に投開票が行われる今回の総裁選は、安倍晋三(あべしんぞう)首相(総裁)の優位は動かなそう。焦点は挑戦者の石破茂(いしばしげる)元幹事長が党員党友票でどこまで安倍氏に迫れるかだ。直近の世論調査では、石破氏が安倍氏を猛追している。

 10日に自民党本部で行われた演説会で、石破氏は政治の師として仰いだ渡辺氏の思い出から語り始めた。勝ち目の薄い総裁選に挑んだかつての師と、自らの境遇を重ね合わせたのか。勝敗を超えた戦いの第1幕が、間もなく下りる。