【ブレックスCS準決勝】第3戦、タイムアウトの裏側 残り5.9秒でつくった奇跡

 その時、タイムアウトの輪の中心にいたのは、トーマス・ウィスマン監督ではなく、安斎竜三(あんざいりゅうぞう)アシスタントコーチ(AC)だった。

 Bリーグチャンピオンシップ準決勝第3戦、同点の残り5・9秒。ブレックス田臥勇太(たぶせゆうた)の速攻が相手ファウルで止められ、ウィスマン監督は最後の戦術を伝えるタイムアウトを請求した。

 直後、ライアン・ロシターが「俺にボールをくれ。最後のシュートを打ちたい」と指揮官に伝えて、全てが動きだした。

 「自らそう言う選手がいたら、経験上、その選手に任せるべきだと思っている」とコーチ歴44年のウィスマン監督は決断に迷わなかった。

 あとは、いかにロシターにボールを持たせるか。

 ショーン・デニスAC、安斎ACそれぞれが作戦を提案し「コーチ陣で話し合った結果、安斎ACがつくったプレーがより良いと思った」。

 サイドラインから再開する最後の攻撃。田臥のスペースをつくる動きから、トップで遠藤祐亮(えんどうゆうすけ)からジェフ・ギブスがボールを受け取る。その瞬間、古川孝敏(ふるかわたかとし)のスクリーンを利用したロシターが走り込む。ギブスのパスを受けたロシターが、相手に一歩先んじて、勝負は決まった。

 劇的なこのラストワンプレーは、安斎ACの手によって作戦盤に記された通りの軌跡を描いた。

 「選手、スタッフ、それぞれに判断する力があり、それぞれに判断する権限を与える。それがブレックスの強さ。最後のプレーがこのチームを象徴していた」とウィスマン監督は胸を張った。