暑熱対策で7月下旬に鶏舎に設置された扇風機=19日午後1時、佐野市関川町

 今夏の酷暑の影響で、県内の酪農家や養鶏農家が苦境に立たされている。あまりの暑さで例年より生乳の生産量が減ったり、卵のサイズが小さくなったりして収入が減った一方、扇風機の増設といった設備投資などで支出がかさんだためだ。今後、鶏を買い足す養鶏所も。酪農家は「手間や技術をいくらつぎ込んでも、これだけ暑いと収入は減ってしまう」と嘆いている。

 採卵鶏1万羽を飼養していた佐野市関川、大室養鶏場。鶏がひしめき合う鶏舎の一角が、ぽっかりと空いていた。今夏の暑さで約2千羽が死んだためだ。

 大室憲一(おおむろけんいち)専務(44)は「大きな痛手だ」と疲れた表情を浮かべた。損失額は約170万円に上るという。

 暑さは採卵鶏の卵の大きさにも影響を与えた。単価の高いLサイズの卵ができる割合が極端に減ったため、例年より減収となった養鶏農家が目立ったという。

 大室さんは7月下旬、鶏舎に扇風機を8台新設した。しかし、来年以降も暑さが続く心配は消えず、「設備が充実した鶏舎の建て替えを検討しなくてはならない」と頭を悩ませる。

 「毎年夏は(生乳の)生産量が減るが、今年は暑さが続いた7月中旬から大きく落ち込んだ。生産量は去年に比べて1割落ちた」。 真岡市沖、酪農家松山秀夫(まつやまひでお)さん(63)は19日、55頭の搾乳牛が並ぶ牛舎内を見渡し、ため息をついた。

 今夏は梅雨明けが早く、牛舎内の扇風機14台を24時間フル稼働させる日が多かった。ひと月の電気代は昨年同期より数万円増えた。さらに来夏に備え、扇風機を10台増設するため今後も出費はかさむ。

 酪農とちぎ農協は今夏、巡回指導などで暑さ対策を各農家に呼び掛けた。臼井勉(うすいつとむ)組合長(70)は牛舎に扇風機を増設する酪農家が目立ったと指摘し「牛は暑さにとても弱い。牛が倒れないようにしっかりと対策することが重要だ」と強調した。