前むく勇気与えてくれた、半崎さんと再会 鹿沼クレーン事故遺族伊原さん

前むく勇気与えてくれた、半崎さんと再会 鹿沼クレーン事故遺族伊原さん

 2011年4月、クレーン車に児童がはねられた鹿沼6児童死亡事故で、長男大芽(たいが)君=当時(9)=を失った父伊原高弘(いはらたかひろ)さん(45)と母加奈子(かなこ)さん(46)。夫妻は30日、前を向こうとするきっかけをくれた歌手と宇都宮市内の思い出の場所で開かれたミニライブで再会した。シンガー・ソングライターの半崎美子(はんざきよしこ)さん。「きょうはどうしてもこの歌を歌いたい」。半崎さんはライブで、伊原さん家族を思って作った曲「明日へ向かう人」を歌った。優しく、力強い歌声が会場を包んだ。

 同市陽東6丁目のベルモール。観客であふれるイベント会場の一角に、伊原さん夫妻はいた。視線の先には半崎さんの姿があった。

 半崎さんは札幌市出身。事務所に所属せず約17年間、全国のショッピングモールを回り、活動を続けてきた。

 14年1月、加奈子さんはベルモールで半崎さんの歌声を耳にし、大芽君を失ったことや歌に癒やされたことを半崎さん宛の手紙にしたためた。この出会いをきっかけに、半崎さんは歌を作った。

 「ある家族とこの場所で出会って、その家族に書いた歌が『明日へ向かう人』。明日へ向かう勇敢な背中を支えたいと思った」

 「前を向くそれだけでも辛(つら)いことが時にはある/それでも進むことをあきらめないで」

 曲の最中、夫妻を何度か見詰めた半崎さん。歌い終えて涙をぬぐった。

 ライブの合間のサイン会で顔を合わせた伊原さん夫妻と半崎さんは涙でお互いにうまく言葉が出なかった。高弘さんは大芽君の写真にサインをもらい、加奈子さんは再び手紙を渡した。