メグロZ号とレストアに挑戦する沢村さん

 戦中戦後、栃木県那須烏山市内に工場があった往年のオートバイメーカー「目黒製作所(メグロ)」にちなんだまちづくりの一環で、上境のオートバイ整備士沢村宜樹(さわむらよしき)さん(39)が「メグロZ号」を復元するレストアに挑んでいる。74年前に烏山の工場で生産されたとみられる貴重なビンテージバイクを3年がかりでよみがえらせる計画。沢村さんは「烏山の地でZ号を再生させる物語性に着目してほしい」と意気込む。

 市観光協会などは市内を「メグロの聖地」と銘打ち、メグロの技術を受け継ぐカワサキモータースの協力を得ながら、新たな観光の目玉に育てたい考え。

 Z号のレストアはその一環。兵庫県明石市のカワサキ本社に眠るZ号の存在を知った協会側が、上境でバイクのレストアやカスタムの専門店を営む沢村さんとカワサキを結び付け、市商工会工業部を巻き込んだ共同プロジェクトとして、このほどキックオフした。

 今回のZ号はエンジンの刻字から1949年製と推察され、メグロが烏山工場でZ号を生産していた時期と一致する。もともとカワサキが九州のオーナーから入手していたもので、既に走行はできない難物だ。

 車両には再塗装やマフラーの交換など、かつての所有者が手を加えた跡も所々見受けられる。今回はそれらを見極め、修正しつつ「かつて元気に走っていた頃」(沢村さん)の状態へと近付ける作業になる。

 作業の参考用に51年製のバイク「メグロZ2」をカワサキから借り受けた一方、カラー写真や設計図はなく、作業には想像力も求められる。マフラーなど現存しない部品は、市商工会工業部が現代の3D技術を駆使して作製する方針だ。

 沢村さんは「歴史をひしひしと感じる1台。再生が成功しエンジン音を聞けたら必ず感動するはず」と胸を高鳴らせ、「うかつに火を入れて心臓部を壊せば一巻の終わり。ネジ1本に至るまで丁寧に扱いたい」と表情を引き締める。

 経過は市内で秋に開催が見込まれるイベント「メグロ・キャノンボール那須烏山」で公開する予定。今秋は骨格、来秋は外装まで再生させ、再来年秋にエンジン音を響かせたい考えだ。