ボルダリング楢崎智亜 最終局面に落とし穴「めっちゃ悔しい」

 世界王者の目に涙がこみ上げた。「めっちゃ悔しい…」。W杯ボルダリング第4戦で2位だった楢崎智亜(県山岳連盟)は試合後、言葉を絞り出した。

 四つの課題(コース)に挑んだ決勝。準決勝を4位で通過した楢崎は順調だった。6選手中で唯一、第3課題までを全て成功。特に他の5選手が失敗した第1課題は圧巻で、ジャンプして右手一本でゴールの突起物(ホールド)をつかんでクリア。制限時間残り2秒で繰り出した大技に、会場は今大会一番の感嘆の声と拍手が鳴り響いた。

 「今日はいける」と確信。勢いに乗って第2、第3課題も1回目の試技で難なくクリア。最終第4課題は、前の2選手が完登に成功するなど、難易度は高くなく、勝利は手中にあると思われた。

 しかし…。第3課題で右手を痛めていた。何度トライしても、時間内に決めることができない。「力が入らなかった」。最後までクリアできずに落下。最終的にロシア人選手に登り切った数で並ばられ、試技数の差で逆転で涙をのんだ。

 涙の理由は今大会に懸けた特別な思いだった。3カ月前、宇都宮市内で開かれた昨季の世界選手権とW杯年間総合の優勝祝賀会。「八王子戦は開催国の選手として、家族や応援してくれる人たちの前で勝ちたい」と照準を合わせていた。

 自国優勝は果たせなかったが、日本人選手最高の2位で王者の面目は保った。W杯は第2戦から3戦連続で2位。「どんな状況でも最後は決めないといけなかった。早くけがを治して次に向けて頑張りたい」。待望の総合2連覇へ前を向いた。