栃木出身・ろう者教育先駆者「石川進」の生涯を物語に 地元手話サークルが発行

 【栃木】栃木市都賀手話サークル「スマイル」はこのほど、ろう者の教育に先駆的に貢献した市出身のろう者石川進(いしかわすすむ)(1899~1964年)の生涯を物語にした本「石川進の生涯」を200部発行した。郷土の偉人として広く知ってもらおうと、同サークル設立20周年を記念し作成した。石川の偉業とともに、ろう者が教育を受けることで、差別や偏見の壁を乗り越えて社会を変えようとする「ろう運動」に発展した流れが分かる一冊になっている。

 石川は赤津村(現栃木市都賀町)の大農家の出身。生まれた時から耳が聞こえなかった。当時、ろう者は義務教育ではなかったため就学できず、近所の寺子屋で学んだ。13歳で東京聾唖(ろうあ)学校(現筑波大付属聴覚特別支援学校)に入学。卒業後は群馬県内初のろう学校で教師を務めるなどした。

 「聞こえなくても、教育を受けることで、立派に生きていくことができる」という信念で、手話でろう児の教育に当たった石川。ろう運動にも尽力し群馬県内では知られているが、故郷でほとんど知られていないという。

 今回の発行は、会員の田中美雪(たなかみゆき)さん(67)が10年程前に石川の存在を知り、地元でも知ってもらいたいと思ってきたことがきっかけ。会員の片柳富枝(かたやなぎとみえ)さん(51)、狐塚良子(きつねづかりょうこ)さん(67)と調査・編集班をつくり、2年程前から子孫の協力を得たり関係者に聞き取りをしたりしてまとめた。