天狗党のメンバーと談判する様子を描いた草雲の日記の挿絵(菊地さん提供)

 【足利】水戸藩の尊皇攘夷(そんのうじょうい)派で組織した「水戸天狗(てんぐ)党」のメンバーが、足利ゆかりの文人画家田崎草雲(たざきそううん)に軍資金の相談をしたとみられることが分かった。天狗党の浪士と面会する様子を描いた草雲の日記を、市文化財専門委員会委員長の菊地卓(きくちたかし)さん(74)が見つけた。菊地さんは「幕末史の一端を記した貴重な資料」と話している。

 菊地さんは、市内の個人が所有する草雲の日記を調べた。1864年1月3日の記録には、14人の浪人が「松や」という宿に宿泊したというくだりがある。天狗党メンバーが軍資金調達のため、同時期に現在の栃木市や佐野市を訪れた記録もあることなどから、足利にも来ていたとみられるという。

 日記には浪人と向き合う草雲と、面会中の部屋を囲むよろい姿の足利藩士の姿を描いたスケッチ画が掲載されている。

 菊地さんは調査結果を、3月に発行された群馬県桐生市の歴史研究団体の会報「桐生史苑(えん)」で発表した。「天狗党が挙兵の前から積極的に資金調達に動いていたことが分かる」と指摘。スケッチについて「臨場感あふれるシーンを、正確かつ緻密に描き出している」と話した。

 天狗党は64年3月、攘夷を訴えて筑波山で挙兵し、同年12月に加賀藩に投降するまで北関東などで戦闘を繰り広げた。

 草雲は足利藩の絵師を務めるなど画家として活躍する一方、「誠心隊」という民兵組織を結成。治安維持にあたり、足利を幕末の戦乱から守った。