薬師堂で開帳された地獄変相図

 【足利】月谷町中河原地区の薬師堂で16日、江戸期の作とされる「地獄変相図」が開帳された。「鬼も休む」とされるやぶ入りの1月1日、8月16日の年2回だけ開帳され、地獄の様子を通じて住民たちに道徳を説く機会になっている。

 薬師堂の創建時期は不詳だが、現在は集会場を兼ねた建物に薬師如来像や十二神将像などを祭っている。地獄変相図は掛け軸で、閻魔(えんま)王や秦広(しんこう)王、五道転輪(ごどうてんりん)王など、地獄の裁判官とされる十王の図10幅と地蔵菩薩(ぼさつ)像の1幅で構成されている。

 参拝者に解説した地元の郷土史家中島太郎(なかじまたろう)さん(54)によると、彩色のグラデーションや構図などに見るべきものがあり大学の研究者も訪れたことがあるという。「(開帳は)今のお化け屋敷のルーツともいえる」と話す。

 薬師堂総代長の田島音次郎(たじまおとじろう)さん(88)は「子どもの頃は親に連れられて、『うそは駄目だ』とか言われたものだ。暗い中の地獄絵は怖くて、子どもは近付けなかった」と振り返っていた。