収録された「スイカ」を示しながら亡き母の思い出を語る金井さん=大田原市

金野乙女さん

「戦中・戦後の暮しの記録-君と、これから生まれてくる君へ」

収録された「スイカ」を示しながら亡き母の思い出を語る金井さん=大田原市 金野乙女さん 「戦中・戦後の暮しの記録-君と、これから生まれてくる君へ」

 全国から公募した庶民の戦争体験をまとめた「戦中・戦後の暮しの記録-君と、これから生まれてくる君へ」が、暮しの手帖社から出版された。2390編の応募の中から157点を掲載。本県からは、戦時中に2人の幼子を育てた故金野乙女(こんのおとめ)さんの体験記「スイカ」も収録されている。

 「スイカ」は、2007に90歳で亡くなった金野さんが、70歳の時に子どもたちに配った自分史に収められた手記。金野さんの次女金井瞳(かないひとみ)さん(70)=大田原市=が「もし入選したら亡き母も喜ぶだろう」と応募した。

 手記でつづられているのは、夫の出征後に宇都宮の自宅で2人の幼子を育てていた太平洋戦争末期のエピソード。ある日、農家の縁側で見掛けた大きなスイカの値段を聞くと、空襲のない山の土地70坪を買うために蓄えた資金と同額だった。迷った末、金野さんはスイカの購入を決意したという。

 金井さんは母の生前、家族でスイカを食べながら思い出話を聞いたことがある。何事にもプラス思考の母は「山の土地とスイカを交換しちゃった」と、笑い話のように話したという。

 B5判312ページ、2700円。