核兵器の恐ろしさや平和への思いを訴える伊藤さん(右)

核兵器の恐ろしさや平和への思いを訴える伊藤さん(右)

核兵器の恐ろしさや平和への思いを訴える伊藤さん(右) 核兵器の恐ろしさや平和への思いを訴える伊藤さん(右)

 【大田原】黒羽中で5日、広島原爆の被爆体験や平和への思いを語り継ぐ「被爆体験伝承者」による講話が初めて行われた。国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の被爆体験伝承者等派遣事業の一環。全校生218人は、当時の広島の様子や原爆の恐ろしさを知り、平和の大切さを学んだ。

 伝承者は高齢化の進む被爆者に代わり、その体験談などを3年間の研修を経て国内外に伝えている。同校は平和教育に力を入れようと初めて派遣を依頼した。

 この日は伝承者の一人、伊藤正雄(いとうまさお)さん(81)が来校。当時12歳で被爆した故松原美代子(まつばらみよこ)さんから受け継いだ体験談を話した。4歳だった伊藤さんも爆心地から3・2キロの地点で被爆しており、自身の思いも伝えた。

 講話では、着ていた服が燃えて裸同然の姿で歩き回る人々、顔がまるでドッジボールのように腫れ上がった友人、火の海となり黒い雨が降り注ぐまちなど、松原さんが当時の状況を描いた絵も紹介。伊藤さんの力強い語り口に、生徒たちは真剣な表情で聞き入った。

 松原さんや、伊藤さんの妹が、後遺症や被爆者に対する偏見に悩んだことについても明かし、目に見えない放射線や核兵器の怖さを強調。最後に「これから国の主人公になる皆さんの手で、核兵器のない世界をつくってほしい」と平和への思いを訴えた。

 3年花塚広羽(はなつかひろは)さん(14)は「教科書では分からない怖さや悲惨な思いを知ることができた」、3年舘田祐次郎(たてだゆうじろう)さん(14)は「今も差別に苦しんでいる人たちを助けていきたい」と話していた。