宇都宮ブレックスが29日のバスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)決勝で琉球を下し、初代王者となった2016-17年シーズン以来5年ぶりのリーグ制覇を果たした。

 強豪ひしめく東地区で4位にとどまり、ワイルドカードで進んだCS。昨シーズン優勝の千葉J、天皇杯優勝の川崎と東地区1、2位をなぎ倒し、リーグ最高勝率で西地区1位の琉球を破って、無敗で「下克上」を成し遂げるまでの一年を振り返る。

連敗スタート

開幕戦でB2から昇格した群馬に敗れたブレックス=10月1日、ブレックスアリーナ宇都宮

 ホームのブレックスアリーナ宇都宮(ブレアリ)で迎えた開幕戦。ブレックスの出鼻をくじいたのは、B2から昇格し、ブレックスをBリーグ初代王者に導いたトーマス・ウィスマン監督が率いる群馬だった。

 千葉Jとの死闘の末に準優勝となった昨シーズン終了後、長年インサイドを支えたライアン・ロシター、ジェフ・ギブス、さらに加入1年目で圧倒的なパフォーマンスを見せたLJピークがチームを離れた(6月15日「ロシターとギブスの退団を発表」)。残留した東京五輪代表の比江島慎ら日本人選手に、新外国人3選手を加えての船出となった。

 弾みをつけるどころか、まさかの2試合連続の延長負けで、早くも暗雲が立ちこめた(10月1日「終盤失速 延長で力尽く」2日「延長で連敗 第4Qリード守れず」)。ブレアリでの開幕連敗はBリーグ創設以来初めてだった。

つかんだ手応え

千葉J相手の100点ゲームでの快勝に貢献した比江島=10月27日、ブレックスアリーナ宇都宮

 今季初勝利は3戦目の川崎戦だった(10月8日「走り負けず今季初白星 攻守がっちり」)。堅守速攻の「らしさ」を体現し、新生ブレックスが一歩を踏み出した。

 千葉Jとの今季初対決では100点ゲームで快勝を飾った(10月27日「会心100点ゲーム 昨季Vの千葉Jに圧勝」)。「強豪に勝って、このチームに自信を付ける」。エース比江島の鬼気迫るプレーが導火線となった。

 今シーズンも強い-。11月中旬から12月上旬にかけては大阪、横浜、信州を相手に5連勝し(12月5日「強さ見せつけ5連勝」)、白星を重ねるたびに手応えを深めていった。

魔の第4クオーター

琉球に逆転で連敗を喫したブレックス。スコットも相手の激しいマークに遭った=12月12日、ブレックスアリーナ宇都宮

 時計の針は残り0秒9まで進んでいた。琉球との連戦初戦。試合終了間際に逆転シュートを沈められ、最大17点あったリードが霧散した(12月11日「残り0秒9 まさかの失点」)

 悪夢は翌日も。第4クオーター開始直後に14点差をつけながら、相次いで3点シュートを決められ、万事休す。連日の逆転負けにブレアリは重苦しい空気に包まれた(12月12日「最終盤に失速」)

 安斎竜三監督は「一気に失点する傾向は改善が必要」。悪い流れを断ち切れず、終盤に逆転を許すのは今季の負けパターンになっていた。琉球戦の魔の第4クオーターが重い課題を突きつけた。

上位の壁

千葉Jに27点差で完敗したブレックス。上位の壁を痛感させられる試合となった=3月9日、千葉・船橋アリーナ

 天皇杯明けから5連勝。荒谷裕秀の成長など底上げも進み、再び上昇気流に乗りつつあったブレックスの行く手を阻んだのは、首位の千葉Jだった。

 第1クオーターだけで28失点。大事な試合の入りで圧倒され、今季最大の27点差での敗北を喫した(3月9日「悔やむ序盤 堅守崩壊」)

 2月の天皇杯では川崎に敗れ、決勝進出を逃した(2月9日「痛恨の10分間 3大会連続で川崎に敗れる」)。上位とのここ一番の試合で勝てない、もどかしさばかりが募った。

殻を破った日

千葉Jとのホーム最終戦を白星で飾ったブレックス。相手のパスをスチールする喜多川=3月9日、ブレックスアリーナ宇都宮

 首位の千葉Jを迎えたホーム最終戦。終盤まで続いた競り合いを制したのはブレックスだった(5月1日「ホーム最終戦飾る 比江島、会心の仕掛け」)

 強度の高い守備を最後まで貫いた。上位との対決、僅差の展開…。今シーズンのブレックスが苦手としていた状況で、ついに殻を破った。

 いくつもの苦杯をなめ、そのたびに自分たちの成長の糧へと変えてきたブレックス。「最強の挑戦者」として乗り込んだCSで頂点に立つのは、必然だった。