バスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)を制した宇都宮ブレックス。リーグ初代王者となって以来5シーズンぶりにつかんだ日本一を記念し、2016-17年シーズンCS決勝から、当時も今も主将を務める田臥勇太(たぶせゆうた)に焦点を当てた記事を復刻する(記事内のチーム名、年齢などは当時のまま)。

初代王者となり喜びながらコートを走るブレックスの田臥=2017年5月27日、東京・代々木第一体育館

 日本一の司令塔は謙虚で献身的だった。優勝を確信すると、1万人の大歓声を浴びながら真っ先にベンチへ駆け寄り、仲間と抱き合った栃木ブレックスの田臥勇太(36)。対戦チームへ敬意を表した上で、「チームメート、スタッフ、マネジャー、フロント、ブレクシー、何より一緒に戦ってくれたファンのおかげ」と全関係者に感謝した。

 卓越したセンスで秋田・能代工高時代に3年連続でチームを主要大会の3冠に導き、その名をはせた。2004年には米プロリーグ、NBAのサンズで日本選手として初めてプレーするなど、173センチ、75キロの小さな体で道を切り開いてきた。

Bリーグ初代王者となり、優勝トロフィーを掲げる田臥ら=2017年5月27日、東京・代々木第一体育館

 この日の試合も勝利への執念がプレーに表れた。反則を受けて激しくコートにたたきつけられてもすぐに立ち上がり、ボールを追って客席にも飛び込んだ。終盤にリードを許しても「誰一人として諦めなかった」。ベテランの気迫がチームを鼓舞し続けた。

 国内2リーグ分裂状態を経て誕生したBリーグでは、抜群の知名度を生かして開幕前から広告塔としてメディアにも積極的に露出してきた。それも、競技の普及や将来を考えればこそ。新リーグ船出のシーズンを締めくくる決勝は1万144人の大観衆が見守った。

Bリーグ初代王者となり、シャンパンファイトで喜びに浸る田臥ら=2017年5月27日、東京・代々木第一体育館

 昨年9月、同じ代々木で他のチームがBリーグ開幕戦を行い、「うらやましかった」。チームの開幕戦はホームで敗戦。「悔しい1ページになった」

 スタートから9カ月。個人成績には目もくれず、常に「チーム一丸」「全員で」と結束力を強調した。最高の舞台で最高の結果を出した。「これだけの雰囲気の中でやれてうれしい。Bリーグは可能性を秘めたリーグだし、そうした(人気の)リーグにしていかないといけない」。試合後そう使命感をにじませた。