コーヒーとケーキを注文した客と向き合う堀越さん(右)。「メニューに必要なさまざまな物が値上がりしている」と嘆く=11日午前、足利市伊勢町3丁目

 地域の喫茶店がコーヒー豆と小麦の価格高騰に苦しんでいる。コーヒー豆は主要産地のブラジルでの霜被害、小麦は北米での高温・乾燥による不作が相場を押し上げている。大半を輸入に頼るため、ウクライナ情勢や円安なども絡み、先行きは不透明。コーヒー、ケーキ、パンはともに喫茶店の主役の商品だけに、店側は一息つけない状況だ。

 足利市の「モカ直火焙煎(じかびばいせん)コーヒー店」では、豆の仕入れ価格が3月から10~20%上がっている。店長の堀越敬介(ほりこしけいすけ)さん(50)は「値上がり傾向が続いている」と話す。

 創業48年。看板メニューは味や香りが異なる8種類のブレンドコーヒーで、500円以下で楽しめる。人気のパンケーキと合わせて千円以内で収まる価格を意識してきたが、いつまで維持できるか分からない。「ブレンドコーヒーの値段だけは守りたい。庶民が気軽に楽しめる価格に落ち着いてほしい」と願う。

 農林水産省と業界団体によると、日本はコーヒー生豆をブラジルから最も多く輸入し、昨年は36%を占めた。霜に加え、コロナ禍の行動制限緩和による欧米の需要増も影響したという。

 業務用コーヒー卸売業のブラジルコーヒー商会(宇都宮市)の永島一正(ながしまかずまさ)社長(59)は「顧客の喫茶店などの立場を考えるとすぐに卸値に転嫁はできない。卸売りも非常に苦しい」と明かす。

 小麦の価格上昇も深刻だ。4月期の輸入小麦の政府売り渡し価格は昨年10月期から17.3%引き上げられた。日本の輸入先ではないものの主要産地のロシア、ウクライナ情勢が今後の国際相場に波及する恐れもある。コーヒー豆と同様に円安や原油高、輸送コスト増などの懸念は尽きない。

 那須塩原市の「Cafe eclair(カフェ エクレール)」は昨年末、コーヒーを最大100円、一番人気のパンケーキを同200円値上げした。北海道産にこだわる小麦粉は、輸入小麦と連動して値上がりする見通しだ。

 店主の鈴木真弓(すずきまゆみ)さん(69)は「品質は絶対に落としたくなく、値上げ幅はできる限り抑えたい。仕入れ先の調整や米粉の活用など工夫するが、あまりにも厳しければ閉店の選択も出てくる」と声を落とした。