編み上げ靴を履いて救護バッグや水筒を携え、凜々(りり)しく真正面を見据える。ブロンズの「救護看護師像」が今春、真岡市の芳賀赤十字病院に設置された▼傷病兵の救護を目的に日本赤十字社は1890年、看護師の養成を始めた。第2次世界大戦では黒い制服姿の960班が各地に派遣され1143人が殉職、4689人が負傷した。栃木救護班でも26人が命を落としたとされる▼戦後は災害現場などでも救護活動に従事した。殉職した看護師を慰霊し、博愛・奉仕の精神を後進に伝えようと、1977年に日赤本社に像が立てられ全国の系列病院などに広がった▼日赤によると像設置の決まりはなく、各病院などの自主的な判断に任せられている。本県では大田原市の那須赤十字病院でも正面玄関脇で患者や家族を迎えている▼新型コロナ感染は一向に収まる気配がない。治療の最前線で医師らと奮闘を続け、人命を守り地域医療に尽くす各医療機関の看護師たちは、かつて命を省みず戦地へ臨んだ救護看護師の姿とも重なる▼大型連休中の混雑や人の移動に伴う感染拡大が全国的に懸念されている。医療現場を再び「戦場」に戻してはならない。コロナ禍が教えてくれた看護職の重要性を再認識するとともに、自身の感染防止対策の徹底を肝に銘じたい。きょう12日は「看護の日」。