栃木県小山市下生井の渡良瀬遊水地で11日、今春生まれた国の特別天然記念物コウノトリのひな2羽に、個体識別のための足輪を取り付ける作業が行われた。ひなは生後44日目とされ、体重は4・6キロと3・9キロだった。専門家によると、生育は順調という。
作業はコウノトリの国内研究機関「IPPM-OWS」の協力で、同市などが実施した。同所では3年連続。作業員らは午前10時ごろ、遊水地内の人工巣塔に高所作業車で近づき、ひなを網で捕獲。地上に降ろして足輪を装着したほか、体重測定や雄雌の判断などをするため血液と羽毛の検体採取を行った。開始から約50分後、巣に戻した。
作業に携わった兵庫県立コウノトリの郷公園主任飼育員の船越稔(ふなこしみのる)さん(58)は「スムーズに作業ができた。ひながよく成長しているのは餌が豊富な証拠。遊水地周辺には若い個体が多いので、一気に数が増えることを期待したい」と話した。
人工巣塔から約400メートル離れた堤防上には約100人が訪れ、望遠レンズや双眼鏡をのぞき込んで作業を見守っていた。