村松一洋准教授

 新型コロナウイルスに感染した県内の10歳未満の女児が4月下旬、急性脳症を発症し死亡した。10歳未満では県内初の死亡例だった。神経疾患に詳しい自治医大とちぎ子ども医療センターの村松一洋(むらまつかずひろ)准教授は、小児の重症化事例は極めてまれとした上で「急性脳症はどんな子でも発症する可能性がある」と指摘。コロナも急性脳症を引き起こすリスクがある点に警鐘を鳴らす。

 県によると、女児に基礎疾患はなく、軽症で自宅療養中だった。容体が急変し病院の集中治療室(ICU)で治療を受けたが、4月29日に急性脳症で亡くなった。ワクチン接種が可能な5歳に達していたが、未接種だったという。

 村松准教授は急性脳症について「インフルエンザや突発性発疹といった他の感染症でも発症することはある」と説明する。その上で「コロナでもとうとう起きてしまったかという思いだ」と吐露した。

 村松准教授によると、急性脳症はウイルスを排除するための免疫が過剰に反応したり、脳にエネルギーを送る働きが弱まったりする事によって起こる。「意識がもうろうとしている、普段はしないような意味の分からない言動をするといった状況が続く際は、発症が疑われる。こまめに様子を見て、いつもと異なる状態が続くようなら医療機関を受診してほしい」と話す。

 現状では、コロナで重症化する小児患者は非常に少ない。そうした中、村松教授は「急性脳症を発症しやすい人を見分けるのは難しい」と明かす。コロナのワクチンは5歳から接種できるが、副反応の頻度は12歳以上と比べ、低いとする報告もある。「コロナでも急性脳症が起き得るということが分かった以上、ワクチンを打つ利点は大きい」と強調した。

 一方、オミクロン株の流行下では「クループ症候群」と呼ばれる症状も目立つようになってきている。犬がほえるようなかん高いせきが特徴で、村松准教授は「せきが止まらず、息苦しさが続くようなら注意が必要」と説明している。