4月からの法改正で男性の育休取得が後押しされる。一方で、県の調査では2020年の取得率は17.9%と、浸透しているとは言い難い。ワークライフバランスや子育て世代の消費行動に詳しい専門家2人に、男性の育児参加や育休推進が社会や会社、家庭に与える影響について聞いた。

蟹江教子教授

 男性の育児参加やワークライフバランスが求められるようになった背景には、社会の変化による父親の役割の変容と少子化対策が密接に関連している。

 江戸時代までさかのぼると、武家の跡継ぎの養育は父親の役割だった。明治維新後の富国強兵によって男性は国のために働く、女性は子どもを産み育てるという役割が位置付けられた。第2次世界大戦後は製造業などの2次産業が盛んになったことで性別役割分業がより明確になり、家庭における父親の役割は生活費を稼ぐことであり、育児における位置付けは薄かった。

 90年代以降はサービス・通信業に比重がシフトしたことで女性の社会進出に拍車が掛かった。近頃は女性活躍・男性の育児参加という考えが当たり前になっているが、産業構造や働き手の変化に企業や社会の制度整備が追い付いていない。

 国や自治体は少子化対策として婚活事業や保育園の整備などを進めているが、対象者が限られるため社会的なコンセンサスを得にくかった。今回の法改正は、これまで積極的に育児に関わってこなかった男性に育児参加してもらうことが狙いとなっているため、幅広い層から理解を得られやすい。少子化対策の一環として推進しやすいのだろう。

 男性の育休取得によって企業は一時的に労働力が不足し、取得した社員はキャリアが中断されるといったデメリットもあるが、企業や従業員にとって働き方を見直すきっかけになり得る。日に日に成長する乳幼児期の子どもを見守ることはその人の人生にとって良い経験となり、人間性を広げることができるのではないか。その一方で、育休中にどのように過ごすのか、どう家事や育児に関わるのかも注目されるだろう。

 ◆蟹江教子(かにえ・のりこ) 宇都宮共和大子ども生活学部教授。専門は家族社会学。女性と仕事・ワークライフバランスや、子どもの発達や家庭環境について研究している。現在は県と宇都宮市の男女共同参画審議会委員も務める。