4月からの法改正で男性の育休取得が後押しされる。一方で、県の調査では2020年の取得率は17.9%と、浸透しているとは言い難い。ワークライフバランスや子育て世代の消費行動に詳しい専門家2人に、男性の育児参加や育休推進が社会や会社、家庭に与える影響について聞いた。

久我尚子上席研究員

 女性の社会進出には仕事と家庭の両立が不可欠で、これまで女性の役目とされた家事・育児を男性も担う必要が出てきた。夫の家事・育児時間が長いと妻の就業継続率が高くなる上、第2子以降の出生率も高まるとされ、女性活躍・少子化抑制の観点から男性育休への注目が集まっている。

 厚労省の「雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得を推進している企業が多い金融・保険業や、テレワークなど柔軟な働き方が浸透している情報通信業で男性育休の取得率が高い傾向にあった。

 一方、水道・電気・ガスといったインフラ関連など男女の役割が固定化している業種や、地方に多い中小企業のように常日頃から人材不足に苦しんでいる職場では、男性が育休を取得しづらい雰囲気が残っているようだ。

 育休取得によって労働力が一時的に低下しても、「子育てしながら働きやすい会社」と位置付けられ企業イメージの向上にもつながる。新入社員の多くは男女問わず育休を取得する意向を示しており、企業にとって優秀な人材を確保するためにも男性育休の推進はメリットがあると言える。

 男性の育休取得が進まなかったり、取得しても期間が短かったりする要因の一つに、一時的な収入減少やキャリアへの影響が考えられる。夫の家事・育児時間が長いと妻の就業継続率が高くなり、世帯の生涯所得は格段に増える可能性があるため、従業員にもメリットは大きい。

 新型コロナウイルス感染拡大でテレワークが浸透したことで、従来の属人的・時間管理型の働き方から成果主義に移行している。働き方や価値観が変容する好機が訪れていると期待したい。

 ◆久我尚子(くが・なおこ) 2010年からニッセイ基礎研究所、21年より生活研究部上席研究員。若者や女性、共働きやパワーカップル、子育て世帯を中心に、消費行動や働き方などを調査・分析している。