さまざまな事情で実親と暮らせない子どもたちの養育の一つに「里親制度」がある。昨年度の県政世論調査によると、実際に登録したいと思う人はわずか1%だった▼那須塩原市の鷹栖律子(たかのすりつこ)さん(81)は50歳で胃がんの全摘手術を受け、第二の人生として養育里親を始めた。最後に養育したのが乳児院に暮らしていた2歳のK君。60歳を前に年齢的な不安はあったが、受託を決意した▼理想と現実の落差に苦しみながらも日々の暮らしに寄り添い続け、K君は看護師を目指して大学に進み、昨年卒業。里親と里子の関係は解消したが、今も家族として共に歩んでいる▼一昨年大腸がんを患った鷹栖さんは「K君との20年間を書き残したい」と思い闘病中、ベッド上で養育記を書き上げた。公表の考えはなかったが、文芸社と朝日新聞Reライフプロジェクトが「Reライフ文学賞」を創設したことを知り応募した▼「家族のかたち~第二の人生の物語」がテーマで先日、長編部門の最優秀賞に選ばれた。特別選考委員の作家内館牧子(うちだてまきこ)さんは「里子との喜怒哀楽を鮮やかな筆致で描いた」と高く評価した。年内に「ハルジオンの花」のタイトルで文芸社から出版される▼鷹栖さんは「読んだ方の中で少数でも『里親を考えてみようかな』と関心を深めていただければうれしい」と話している。