1年間育休を取得した森山さんは「家族への愛情と会社への信頼も深まった」と振り返る(森山さん提供)

 より良い仕事のためには、プライベートの充実も当たり前-。電子・光学材料製造の「デクセリアルズ」(下野市)は、子育て支援で高い基準を満たした企業として厚生労働省の「プラチナくるみん」に認定されている。

 男女とも働きやすい環境づくりを目指し、テレワークの制度化や育児短時間勤務制度を積極的に取り入れた。中でも注目されるのが、2014年に始まった独自の「育児支援休暇」だ。

 支援休暇は、子どもが1歳に達した日の翌年度の4月15日(または1歳2カ月に達する日の月末)までに20日間取得できる制度。個別面談などで根気よく説明を続けた結果、対象者の76.9%に当たる193人が取得した。社員は育休か支援休暇のいずれかを選択できるため、男性の育児参加を後押ししている。

 育休中の社員へのフォローも手厚い。社内情報はオンラインで確認でき、復職後のキャリアアップのためeラーニングシステムを導入。ビジネススキルやTOEICなど、100種類以上のコンテンツが選べるのも人気の一因だ。

 商品開発部の森山浩伸(もりやまひろのぶ)さん(47)は20年6月から1年間、第3子の誕生を機に育休を取得。当時は新型コロナウイルスの感染が急拡大しており、「妻の不安が大きかったことが決め手になった」という。育休に備えて仕事をリストアップし、チーム内で共有したことでスムーズに引き継ぎができた。

 子どもの誕生から1カ月間は、夫婦とも寝る間もなく育児に追われる日々。「妻一人に任せるのは無理だ」と痛感した。2人で取り組むことで心にゆとりが生まれ、家族への愛情も深まった。

 復職後、仕事が立て込んでも家族は「1年間も休ませてくれて良い会社だね」と言ってくれる。「仕事への理解や信頼につながったのも大きい」と振り返る。

 育児・介護休業法改正に伴い、同社は新たに出産予定日の5カ月前に「出産予定届」の提出を呼び掛ける方針だ。担当者は「男性育休を知っていても、社会保険料の免除など制度を正しく理解している人は少ない。個別に説明することで理解を深めたい」。その意気込みに迷いは見られない。