ヘルメットをかぶらずに自転車に乗る高校生ら=4月下旬、宇都宮市江野町

 栃木県自転車条例で努力義務として定められたヘルメットの着用が進んでいない。1日で施行から1カ月がたったが、自転車で通学する高校生らに目立った変化は見られず、「みんな着けていない」「ださい」などの声が上がる。周知啓発に取り組む側の県の職員でさえ着用率が高いと言えないのが現状で、各世代共に出足は伸び悩んでいる。

 4月下旬の平日、宇都宮市中心部のオリオン通り。下野新聞社が下校時間帯に2時間調べたところ、全自転車通行者の中でヘルメットを着けていたのはたった1人だった。

 その1人、宇都宮短大付属高3年渡辺雅斗(わたなべまさと)さん(17)は、趣味のロードバイクで習慣化している。「ママチャリだと似合わないから、みんなかぶらないのかも」と推測した。私立高1年男子生徒(15)は「みんなかぶっていないし(価格が)高い」と話した。県によると、相場は3千~6千円という。

 栃木駅北口周辺でもこの日夕方、ヘルメット姿の生徒は見当たらなかった。栃木農業高3年女子生徒(17)は「蒸れて髪が乱れるし、ださい」。県内の複数の高校が「生徒に促してはいるが、ほとんど着けていないのが現状」と明かす。

 共に条例周知に取り組む県と県警の職員では実践状況に差があった。同じ日午前7~8時半に県庁と県警本部の駐輪場で数えたところ、着用率は県職員が190人中47人で25%、県警は49人中47人で96%だった。

 県職員の一人は「これから買う予定」と説明した。県警幹部は「仕事に来ている以上、県民の手本となる行動を示す必要がある」と語る。

 県警によると、2021年、自転車の交通事故で死亡した人は70、80代の7人。全員が着けていなかった。けがをした1055人のうち918人が非着用で、年齢層が高くなるほど着用率が低い傾向にもある。

 県くらし安全安心課の担当者は「幅広い世代で着用が進んでいない」と認める。会員制交流サイト(SNS)での発信など「さらに広報、啓発に力を入れていく」とした。