育児休業中の水沼さん。「授乳以外の全てのことはできるようにした」と語る=2021年2月ごろ、水沼さん提供

 生まれたばかりの赤ちゃんと3歳の長男。2人と向き合う育児は予想以上に重労働だった。女性の疲労が心身共にピークとなる産後。「もし全てを妻に任せていたら…」。悲観的な想像が頭をよぎった。

 在宅医療の「さつきホームクリニック」(宇都宮市花園町)で働く理学療法士の加藤龍太(かとうりゅうた)さん(33)。第2子誕生のタイミングで2020年5月から1カ月間、育児休業を取った。

 きっかけは上司からの勧め。最初は悩んだが、第1子誕生時に育休を取らず、妻がつらそうにしていた姿が目に焼き付いていた。引き継ぎなど職場のフォローもあり、「安心して取得することができた」。

 休業中は料理に腕を振るったりミルクを作ったりして、妻の負担軽減に当たった。夜、3時間ごとのミルク作りは「仕事をしながらではできなかった」と感じた。

 実際に取得してみて感じたのは、「1カ月では短い」。「子育ての大変さは産後数カ月間続く。もっと長くてもいいなと思った」と振り返る。

 加藤さんの上司で、リハビリテーション部の水沼史明(みずぬまふみあき)部長(36)も21年1月末から3月上旬まで育休を取った。子どもとの時間を大切にしたいと考えたのに加え、「部署のトップが取得すれば職場内でも取りやすい雰囲気ができる」と思ったからだ。

 休業中の水沼さんの仕事は、チームリーダー2人に割り振った。管理職の取得を可能にしたのは、「特定の人にしかできないポジションを作らない」という普段からの心掛けだった。

 育休を取得する従業員がいれば、必然的に周りの業務負担は増える。だが、同クリニックでは「休業する人がいても周囲の負担感が過大になるという感じはしない。むしろ『次は自分が取るかも』と積極的にフォローしてくれる雰囲気がある」という。

 女性と比べて男性の育休は、取得しづらい雰囲気が職場にあると感じる人は少なくない。そうした中で水沼さんは、企業風土の醸成こそが重要だと確信している。「部門のトップが育休に理解があるかどうかにかかっている」