遠洋、内水面、沿岸など漁業は日々の暮らしになくてはならないが、中にはなくさねばならないものもある。「違法・無報告・無規制」の英語の頭文字を並べて「IUU」と呼ばれる漁業だ▼各国政府や国際機関の規制を無視した漁業や漁獲量の過少報告などの活動を指す。日本人もそうとは知らずに多くのIUU水産物を消費している▼規制を守る漁業者に経済的な打撃を与え、漁業資源減少の一因ともなるIUU漁業の廃絶は国際的な課題だ。重要なのは水揚げ時に、適正な漁獲物であることを業者に証明させる制度の導入である▼欧米に比べてこれが遅れていた日本でも、ようやく漁獲証明などを義務づける「水産流通適正化法」が成立、12月から施行される▼だが当面の対象は、国内漁業ではアワビとナマコ、輸入水産物ではイカ、サンマ、サバ、マイワシの6種だけ。大規模な密漁が指摘されているウナギの稚魚「シラスウナギ」の規制は、国内業者の反対に配慮して2025年に先送りされた▼全魚種を規制対象とするよう求めるキャンペーンには、沖縄から発信する動画が人気のお笑い芸人「せやろがいおじさん」まで登場した。「ひょっとしてこれはIUU水産物じゃなかろうか」。そんな思いを抱きながらすしを口に運ぶ日々から脱するために、対象拡大は不可欠だ。