まだ新型コロナ対応の渡航制限があるとはいえ、大型連休を海外で過ごす人が増えている。うらやましい限りだが、旅行者のぼやきが聞こえてきそうだ。他でもない、円安である▼先月28日には一時1ドル=131円台まで進行。現地で100ドルの商品を買う場合、1年前なら1万1千円ほどだった物が、1万3100円になる計算だ。“値上がり感”は強い▼海外旅行は限られた例で、日々の暮らしへの影響ははるかに大きい。電気、ガス、食料品、雑貨…。既に値上げされているものもあり、円安の進行は追い打ちになる。考えるだけでも気がめいる▼懸念は人生設計にも及ぶ。この時期、勤務先を定年で退いて退職金を手にしたばかりの人も多いだろう。低金利の下で今後のための資産運用をどうするか。一つの手だてとして、金融機関や生命保険会社の外貨建て商品がある▼米国の金利は現状でも魅力的だ。だが、為替相場を考えると、これから円高に振れれば元本は目減りする。「契約数は一時期の半分近く。こちらからも勧めづらい」とこぼすのは明治安田生命宇都宮支社の外交員。不透明な先行きがささやかな利殖にも影を落とす▼日銀は円安の一因とされる金融緩和政策を維持する方針を示している。日々の生活や老後に対する庶民の心配を、どう考えているのだろうか。